名書店・三月書房

業種不問で京都の隠れた名店を挙げよといわれれば、まずは四条川端の居酒屋「SIBA」の名前を出します。次に挙げるのは、東山三条の「ユニバーサル模型」でしょうか。書店の出番はその後ですかね。

というところでお待ちかね、本屋です。さんざん足を運びまくる古書店を差し置いて真っ先に名前を出すのは、いまの自宅からはずいぶんと近い、一乗寺の「恵文社」です。まぁ、この店も今ではかなり有名になりまして、多くの人が足を運んでは長居していくところです。何年か前に数名で行ったとき、時間が飛ぶように過ぎてみんなで焦ったものです。本の品ぞろえも配置も凝っている、行ったらついつい長居してしまうお店です。同じく一乗寺にある古本屋「萩書房II」も、名店です。

そしてもうひとつ名を挙げる名店が、寺町二条を少し上がったところにある「三月書房」です。このお店は、店の入り口には飾り気がなく、本の並べ方も凝ったところはないのですが、その品揃えが面白いことから、知る人ぞ知る有名店となっています。マニアックな本が見つからないときには、まず足を向けるのがこのお店・・・と、院生時代にお世話になった、ドイツ文学の加藤先生(現・大谷大学教授)に教えていただいたものです。教えていただいてすぐのころに足を運んで、扱っている書籍の揃え方に、思わず唸ってしまいました。

その三月書房が、今年で店を閉めるというニュースを見て、ああ行かねば、と。そう思い立って先月も足を運んだのですが、今日は雨雲が去った後、運動がてらと思って自転車を走らせたという次第です。雨模様だったせいか、先月に比べて客は入っていませんでした。そんな店で、手にしたのはグレゴリ青山画伯の『京都「トカイナカ」暮らし』でありました。

ところで昨日は、八坂神社と知恩院を訪れました。八坂さんは祭神が牛頭天王ですから、疫病で静まり返っている今こそ参るところでしょう。しかし、ここも平素よりは人が少ないです。白人客の数は減っていないというのが実感ですが、自宅にこもっているより、こうした青天井のところに足を運ぶ方が、空気も良くて健康的と思うのは私だけですかね。