12月4日更新
13回目となった、日韓中の西洋古代史研究者による集いです。私はこれで、3回連続の参加となりました。
実は、今回は参加する予定ではありませんでした。前回、2021年に報告した(オンラインだったのはつまらなかったですが)ので、今回は良いかな、と思っていたのです。
ただ、今次シンポジウムの主催校が中国ということで、ひょっとすると声がかかるかな、との疑念(?)は抱いていました。で、6月の西洋古典学会の時に進捗状況を日本側事務局にそれとなく問い合わせたところ、紆余曲折を経て
「参加してくれると有り難い」
ということになりました。
さて、そこからが面倒くさかった。学術交流を目的とした正規の渡航となるため、ビザを申請しなければならないのです。このビザ申請にあたり、ホスト側の招待状をもらわなければなりません。首尾よく8月下旬には招待状をもらいまして、さて残りの手続きはトルコから帰ってきてから・・・と意気揚々とトルコに遊んだ9月の頭に、
「どうもこの招待状、必要な情報が欠けている」
との連絡が入り、それまでの暢気モードが一気に剣呑モードに切り替わりました。かくして帰国後、慌ててビザの申請書式を完成させ、申請に行ったのは9月17日のこと。実に60人ほどの先客がいて、2時間半ほど待つ羽目になりました。まぁ、それを見越して暇つぶしの道具を各種仕込んでいたので、各種作業を進める時間となりました。そしてビザの申請は「書類不備で再提出」と予測を立てていたのですが、
「はい、問題なし。受理します」
思わず、耳を疑ってしまいました次第。案ずるより産むが易し、とはこのことです。
そして10月17日、関西空港から春秋航空で上海へ向かい、他の参加者の皆さんとは浦東空港で合流しました。ここにいたるまで、諸般手続きに当たっての状況交換で薄々感じていたのですが、今回の日韓中シンポで、私用で中国に渡航した経験がある日本人参加者は、7名のうち、実に私だけでした。だからでしょうか、空港から会場の復旦大学へ移動する車中、他の人は車窓の景色を眺め、私だけはタクシーのメーターを注視していました。初回訪問時に虹橋空港からのタクシーにぼったくられた過去が、此処でも祟る(苦笑)。メーター通りに行ってくれたので、ほっと胸をなで下ろしました。初日はウェルカムパーティー、2日目と3日目がシンポジウム本番、そして4日目は上海博物館新館へのエクスカーション後に解散という過密日程でした。下記は、そのプログラムです↓
13th China-Korea-Japan Symposium on Ancient European History
Community and Communication in Classical Antiquity
10月18日(金)
Session 1, Chair, ZHANG Wei 张巍 (Fudan University)
- LI Yongbin 李永斌 (Capital Normal University)
Cleisthenes’ Reforms of the Trittyes and the Reorganization of the Political
Community in Athens
Discussant, LEE Sangduk 李相德 (Kyung Hee University)- OKADA Taisuke 岡田泰介 (Takachiho University)
The Theatre of Democracy: Naval Imageries in Old Comedy and the Athenian
Society
Discussant, GUO Zilong 郭子龙 (Northeast Normal University)- KIM Hyo-Jin 金孝眞 (Chonnam University)
Worshipping Asklepios in Athens during the Peloponnesian War
Discussant, XIAN Ruobing 冼若冰 (Fudan University)Session 2, Chair, GOTOH Atsuko 後藤篤子 (Hosei University)
- OYAMADA Maho 小山田真帆 (Kyoto University)
Male Prostitutes and "atimos" (ἄτιμος) in Classical Athens
Discussant, KIM Kihoon 金基勳 (Kongju National University)- LEE Sangduk 李相德 (Kyung Hee University)
Between Asklepios and Hippocrates: Ancient Minds and Their Choices
Discussant, LÜ Houliang 吕厚量 (Chinese Academy of Social Sciences)Session 3, Chair, AHN Jaewon 安在源 (Seoul National University)
- WANG Shaohui 王绍辉 (Northeast Normal University)
“κατὰ τὰ μάγοις” or “τῆι θεῶι Ἑλληνικῶι νόμωι”? A Survey of Ritual Practices in Marmarini Inscription
Discussant, KIM Hwanyi (Seoul National University)- TAKAHASHI Ryosuke 高橋亮介 (Tokyo Metropolitan University)
“Son of the Polis”: Some Remarks on Family Metaphors in Greek Cities under Roman Rule
Discussant, Rik van Wijlick (Peking University)10月19日(土)
Session 4, Chair, YAN Shaoxiang 晏绍祥 (Capital Normal University)
- SHIN Myongjoo 申明珠 (Ewha Womans University)
Greek Doctors in Rome
SAKATA Michio 坂田道生 (Tokyo Metropolitan University)- WU Ching-Yuan 吴靖远 (Peking University)
“Obey…for the Common Good”: Building a Sense of Community in the Bakers’ Strike Edict
Discussant, SHIBATA Hiroshi 柴田広志 (Bukkyo University)Session 5, Chair, AHN Heedon 安熙惇 (Kangwon National University)
- BAE So Yeon 裵素燕 (Yongin University)
Les Banquets Jovials ou Macabres: Dining with Roman Tyrants
Discussant, XIONG Ying 熊莹 (Shanghai Normal University)- FUKUYAMA Yuko 福山佑子 (Waseda University)
Meanings of Monumental Images in Cassius Dio and Herodian
Discussant, BAE So Yeon 裵素燕 (Yongin University)Session 6, Chair, OKADA Taisuke 岡田泰介 (Takachiho University)
- OHTANI Satoshi 大谷哲 (Tokai University)
Support Networks for Christian Prisoners in the early Church
Discussant, ZHOU Zhihuan 周之桓 (Fudan University)- ZHOU Zhihuan 周之桓 (Fudan University)
Communication or Propaganda? Ambrose’s Making of the “Basilica Conflict” of 385/6 AD in Milan
Discussant, AHN Jaewon 安在源 (Seoul National University)Session 7, Chair, LÜ Houliang 吕厚量
- LEE Ji-Eun 李芝恩 (Seoul National University)
Ravenna and Its Networks on Land and Sea in Classical Antiquity
Discussant, GOTOH Atsuko 後藤篤子 (Hosei University)- KANG Kai 康凯 (Shanghai Normal University)
Narratives of Ethnic Conflict in the Historiography of the Gothic Wars and Roman Identity in the 6th Century
Discussant, YE Min 叶民 (Nankai University)
便宜上、私の名前だけ色を変えました。また、所属は最初に非常勤のコマをいただいたことに敬意と感謝を表し、佛教大学としました。
今回のシンポで嬉しかったのは、なによりエディンバラの同窓である、呂厚量に再会できたことです。本来なら前回、第12回シンポジウムの開催場所であるソウルで久闊を叙するはずでしたが、期せずして上海での再会となりました。慌ただしい日程だったため、なかなか時間を取って腹蔵ない雑談とはいきませんでしたが、まぁそれは致し方のないことでしょう。彼のあとにもエディンバラ大で学位を取った中国人研究者はいるとのことで、その何人かと交流を持てたのも、得難いことでした。
過密日程のために外出の時間もあまりありませんでしたが、2日目と3日目の夜には、それぞれ、復旦大学の近くと外灘・南京東路での散策の時間を持てました。最終日の上海博物館新館は浦東地区に壮大な規模を持って威容を誇っており、また時間があれば、と思っております。
今回のシンポジウム参加の機会を提供してくださった東京都立大学の髙橋亮介先生と早稲田大学の福山佑子先生、そして参加者の皆様に、改めて篤く御礼申し上げます。