6月9日更新
今年の西洋史学会の会場は、東京外国語大学です。場所は府中で、
「どうやって行くの?」
というところから始まりました。場所を検索すると、新宿から1時間離れたところです。じゃあ近場で泊まろうかと思って探すと、宿が全然無い。そうすると、新宿あたりに宿を取る方が安上がりなのです。ところが新宿はじめ東京都内も宿がえらく高い。仕方が無いので、風呂が広いカプセルホテルを選択することにしました。
東京までは、懐かしの千葉中央バスの夜行バスで、上野まで出ました。私の京阪時代の運転手さんがまだ乗務しているのは、嬉しい限りです。疲労とを何処まで持ち越すのかが懸念事項でしたが、比較的よく眠ることができたので、この点は杞憂に終わりました。やや眠り足りない分は、下車後に山手線に乗ってぐるぐる回って仮眠を取ることで解消しました。
わざわざ夜行バスで東京に出たのは、神保町の古本屋を巡る時間を取るためです。府中に行く時間も勘案する必要があるので急ぎ足になりましたが、それでも2冊ほど本を調達できたのは幸いでした。
腹ごしらえをして、さて府中へ・・・というところでJR中央線が事故による遅延で、冷や汗をかきました。幸い、大幅な遅れには見舞われずに済みましたが、代わりに西武多摩川線に乗り換える武蔵境駅で乗った電車は、西洋史学会ご一行様御用達列車と化していました。いやぁ緊張した。
東京外国語大学に来るのは初めてです。手弁当でここまで来たのは、こんな機会でもなければ訪れることはないだろうというのが一点、初日のシンポジウムが面白そうだというのが一点、そして2日目に知り合いの報告が目白押し(ここは目白ではないですが)というのが一点、本屋さんの出店目当てというのが一点、そして最後の理由は、この大学の学長がオスマン帝国史の専門家である林佳世子氏であるというものでした。実際、初日は林氏が開会の挨拶をされており、氏の著作を手許に持つ身としては、なんとなく満足しました。
さて、私が聴講したのは、以下の通りです。
5月18日(土)
記念シンポジウム「感情史の課題と展望」
- 伊東剛史(東京外国語大学)「感情史とは何だったのか?」
- 小野寺拓也(東京外国語大学)・澤田望(駒澤大学)「数量的分析は感情にどこまで迫れるか?―『クレンペラーの日記』を例に」
- 倉田明子(東京外国語大学)・澤田望(駒澤大学)「紛争と感情-SNSから振り返る2019年香港反政府デモ」
- 西井凉子(東京外国語大学)人類学からのコメント
- 大平英樹(名古屋大学)心理学からのコメント
5月19日(日)古代史部会
個別論題報告
- 大野普希(京都大学) 司会:周藤芳幸(名古屋大学)
歴史叙述としてのパウサニアス『ギリシア案内記』―イオニア諸都市に関するヘロドトスの記述との比較を中心に- 橋本 資久(文部科学省) 司会:栗原麻子(大阪大学)
相互顕彰としての対評議会授冠
小シンポジウム1「ペルシア戦争の受容―古代から現代まで」
- 趣旨説明・司会 師尾晶子(千葉商科大学)
- 第1報告 酒嶋恭平(京都府立大学)
「ヘレニズム時代のペルシア戦争の記憶―儀礼、自由、異民族―」- 第 2 報告 長谷川岳男(東洋大学)
「ローマ帝国下におけるペルシア戦争」(仮)- 第 3 報告 村田光司(筑波大学)
「ビザンツ知識人たちのペルシア戦争」(仮)- 第 4 報告 福田耕佑(大阪大学)
「近現代ギリシアにおける東方と文学作品におけるペルシャ表象」(仮)- コメンテータ
1.守川知子(東京大学)
2.曽田長人(東洋大学)
小シンポジウム2「古代ローマ世界における農業と社会:新しい時代の多分野共同研究に向けて」
以上、大変に充実した2日間でした。特に初日のシンポジウム「感情史」というのは新しい研究主題ですので、どのように展開するのか、あるいは古代史の分野ではどのような形で取り込んでいくのか、考えながら報告を聞いていました。
残念ながら最後まで会場にいることができず、あと少しというところで会場を抜け出し、東京駅で旅の知己である漫画家・まえだなをこさんが紹介してくれたPさんと一献酌み交わして新幹線に飛び乗ったのでした。
さて、西洋史学会会場で買った本を紹介:
すいません、実は未だ持っていませんでした。この機会に、と思いまして。
大阪の高齢者大学校などでお世話になっている、向正樹さんの御著書。重厚なこしらえに、買ったは良いモノの、びびっております(笑)。