下鴨劇場新歓公演「嘘屋」観劇記

5月25日更新

大学の学部生時代に、旅以外で一番時間と力をつぎ込んだのは、演劇実験場下鴨劇場での活動でした。・・・なにしろ公演前1週間の「仕込み」の時には、ほぼ舞台に缶詰です。授業もゼミも休んでしまうという状態で、指導教員のW先生に、何度叱られたことか(反省しております・・・トホホ)。私は後から音響担当として招ばれた人間ですが、私の世代が旗揚げということで、いまでも繋がりは続いております。今年の1月には、そのメンバーの一部と初詣で京都市内を歩いたくらいですから、縁は切れておりません。

その演劇実験場下鴨劇場は、2021年3月、いったん活動を終了しました。しかしすぐに後を継ぐ学生さんが現れ、復活を遂げました。このときには大喜びしたモノです。しかし、芝居を見に行く時間はなかなかとることが出来ず、ここまで来てしまいました。

未だ授業が本格的に始まる前ということもあり、未だ時間がとれます。かくして今日、思い切って府大まで芝居を見に行きました。今日は新歓夜祭の日で、公演もその一環を為す催しです。公演場所のクラブBOX街練習場に、時間ギリギリに駆け込むという格好悪いことになってしまったのはご愛敬でしょう。30分ほどの短い公演を、じっくり観劇しました。「伝統」と呼ぶにはささやかかもしれませんが、私がその一端に関わったモノが受け継がれるのを見るという幸せを、かみしめる一瞬でした。

公演が終わった後、後輩さんたちと少し話をすることが出来ました。昨年度は非常勤講師として授業を半年だけ受け持ったこともあり、どうもそのときの気分が抜けないのでしょうか。「あの授業は面白いよ」などという話を手短にして出てから、ハタと、あることに気がつきました。

今日は、下鴨劇場を復活させてくれたお礼を、OBの一人として言いに来たのでした。大事な用事は、しかし、また次の機会に持ち越すしかなさそうです。持ち越す機会があるのは、しかしながら、幸せなことでしょう。そんなことをしみじみと感じる一日でした。