山本昌広、待望の通算200勝

中日・山本昌 通算200勝達成 最年長42歳11カ月で
毎日新聞 - 2008/8/4 21:11

中日の山本昌(やまもとまさ)投手は4日、ナゴヤドームで行われた巨人戦で通算200勝を達成した。200勝は04年の工藤公康(当時巨人、現横浜)以来、プロ野球24人目。42歳11カ月での達成は工藤の41歳3カ月を上回り、最年長記録となった。中日からはフォークボールの元祖といわれる杉下茂(のち大毎)以来、球団史上2人目。
 現役投手で200勝に最も近い勝ち星を挙げているのは西武の西口文也投手(35)で155勝(4日現在)。先発ローテーション制が確立した近年、200勝はますます至難の業となっている。【村社拓信】
(中略)
 ▽山本昌の話 (ゲームセット後、同僚に胴上げされる)こんなふうに投げられるのはそんなにないので感激した。緊張感はあったけど、たくさん来てくれたファンの期待に応えたかった。中盤からこの点差なら完投しなきゃいけないと思った。
(以下略、毎日新聞

ドラゴンズファンの誰もが、日本一の次くらいに待ち望んでいた大記録ではないだろうか。
正直なところ、200勝まで行くとは、つい数年前まで―少なくとも落合監督就任前くらいまでは、思ってもみなかった。しかし、ここ数年、やや衰えは見せつつも、そんじょそこらの投手では遠く及びもつかない投球術、そして何より老け込む気配が全くないのを見るにつけ、
「これはひょっとすると、ひょっとするかも知れない」
と、手に汗を握る思いで見守ってきた。だいたい、一昨年など、優勝争いを演じている相手に対してシーズン終盤にノーヒットノーランをやってのけるくらいである。引退する気配など、まったく感じなかった。
最大の引退の危機は、おそらく昨年だっただろう。ここ数年、活躍が一年おきになっていて、その悪い谷の年に当たっていたとはいっても僅かに2勝、
『さすがに、これまでか』
と思っていたら今年、見事に復活してのけた。下位指名で入団してから数年、鳴かず飛ばずだった。それが星野監督に命じられて嫌々行ったアメリカでブレイクのきっかけをつかみ、今や押しも押されぬ大投手である。野球とは、野球とは―いやいや、人生とはかくも面白いものだ、と思う。
「今日の勝ちは、本人の記録」という落合監督のコメントも渋いが、敢えて今日は、元チームメイト・中村武志のコメントを紹介。

◇祝勝のひと言

 ▽中日でバッテリーを組んだ中村武志・横浜バッテリーコーチ 僕と山本さんは名古屋での巨人戦で育てられた2人なので、特別な星の下で生まれたような運を感じる。200勝に満足せず、さらに球界を盛り上げてほしい。(毎日新聞より)

ちなみに中村武志、ドラゴンズで昌やんの球を受けている時、
「高校生でも打てますよ」
と、しばしば「夫婦漫才」をしていたそうな。そのように球速のない投手(ちなみに昌やんの場合は、球速が出ている時の方が打ち込まれる、という怪体な傾向を持っている)が、極上の投球術でプロの超一流のバッターたちを手玉に取っていく。その円熟を極めたピッチングを、未だ当分、見続けることが出来る。それが楽しみである。