「自爆テロ」は正しい用語か

イスラマバードのホテルで自爆攻撃、40人以上死亡
イスラマバード 20日 ロイター]

 パキスタンの首都イスラマバードにあるマリオット・ホテルで20日、トラックを使った自爆攻撃が発生し、少なくとも43人が死亡、250人近くが負傷した。爆発によって火災が発生し、ホテルの建物は炎に包まれた。
 爆発が起きたのは、ザルダリ新大統領が上下両院の議員総会で初の施政方針演説を行った数時間後。ザルダリ大統領は昨年12月に暗殺された故ブット元首相の夫で、テロ根絶を訴えていた。
 同ホテルは海外からの宿泊客や外交関係者、裕福なパキスタン人に多く利用されており、厳しい警備が敷かれていた。警察当局によると、内部にはまだ取り残された人がいるという。
 警察当局の責任者は「爆発物を搭載した車がマリオットの入り口に激突し、これまで40人の遺体を運び出したが、その数はさらに大幅に増える可能性がある」と述べた。
 今回の自爆攻撃はイスラマバードで起きたものとしては過去最大級で、ホテルの警備フェンス前の道路には深さ約6メートルの穴が出来た。同国内務省は500キロ以上の爆発物が使われた可能性があるとしている。

パキスタンの内情不安が当分続きそうだ・・・ということを言いたいがために、この記事を取り上げたのではない。まわりくどい解釈はこの際不要、注目して欲しいのは「自爆攻撃」という用語を用いているという、その一点である。ちなみにロイター電であるから、当該記事の原文は英語、そこでは「A suicide truck bomber attacked...」となっている。
要するに何が言いたいのかというと、「『自爆テロ』という訳語は、素直に訳せば誤訳といわざるを得ない」ということ、そしてロイター社はそのことを承知しているために、日本語に訳す時に「自爆テロ」という日本国内で流布している用語でなく、あえて「自爆攻撃」という正確な訳語を持って来ている、ということがいいたいのだ。まずはこの事実を押さえた上で、「自爆攻撃」という行為が如何なる意味を持っているのか、考える必要がある。こういった用語への理解を、好い加減なものにしたくはない。これを間違えてしまうと、「自爆=テロ」という、おそらくは間違った認識が独り歩きして、国際情勢の根幹にあるものの理解が見当違いになってしまいかねないから。
でもパキスタン、落ち着くのかな・・・