パレスティナの和平の行方は・・・

イスラエル:首相、パレスチナ国家樹立に言及

 【エルサレム前田英司】イスラエルのネタニヤフ首相は14日夜、外交演説を行い、中東和平交渉を巡り拒み続けてきた将来のパレスチナ国家樹立に初めて言及した。首相はただ、この国家が非武装化され、イスラエルを「ユダヤ人国家」と認めることが樹立合意の必要条件だと主張。さらに、パレスチナが求める聖都エルサレムの分割や、難民のイスラエル領内への帰還には応じないと言明するなど、事実上、パレスチナが受け入れられない高いハードルを突きつけた。

 ネタニヤフ首相はパレスチナ国家について、「非武装化が保証され、パレスチナ人がイスラエルユダヤ人国家と認めるなら、軍隊を持たないパレスチナ国家を隣国とする和平に合意できるだろう」と述べた。
(以下略、毎日新聞

「何か自分勝手に好き勝手なことをほざいていやがる」
と思ったのは、果たして私だけでしょうか。このネタニヤフとかいう男の放言、真面目に取り上げる価値もないと確信していますが、それにしても酷いの一言。考えるまでもなく、イスラエルの隣にある国が非武装で国が保てる、ワケがない。真面目に報道するだけ無駄なんですが・・・

イスラエルについては、先日の西洋史学会の講演会で、東大の板垣名誉教授が仰っていましたが、詰まるところは植民地の問題なんです。氏が明快に仰っているように、イスラエルという存在は、
「ヨーロッパ人にとっては、ユダヤ人という厄介者を、かつて自分たちが植民地とした地域に棄民し、その後ろめたさを人道主義という隠れ蓑でくるんで正当化したもの。一方でイスラエルは、自分の存在の正当性を擁護するために、ホロコーストという『錦の御旗』を振りかざし、衆の避難を封じ込めている。実際に自分たちがパレスティナで行っていることはホロコーストと同様の蛮行なのに、ホロコーストの記憶を振りかざすことによって、批判者の思考を停止させ、非難を封じ込めている」
という代物です。露骨に(それも、西洋史学会なんてところで!)言っていただいて、スッキリしたものです。私は以前、この構造を評して、
イスラエルという存在は、西洋のエゴイズムとオナニズムの醜悪な結晶」
と述べたことがあります。あまりにも表現が露骨すぎたのか、あまり支持を得ることが出来ませんでしたが、自分の言ったことは基本的には間違っていないと思います。もちろん、現在の課題は、そこから一歩進んで、「ヨーロッパの捨て子」イスラエルの存在を、如何にして発展的に解消させるべきか、というところに進もうとしているんですが、なかなかこれが・・・なにしろ、ここまで議論を進めさせてくれる場に恵まれませんので。土井敏邦さんが『アメリカのユダヤ人』で明快に指摘しているように、
ユダヤ人にとって、イスラエルという存在は百害あって一利無し」
であると確信しているのですが。