京都国立博物館特別展「シルクロード 文字を辿って−ロシア探検隊収

なんとも暑い一日となってしまったが、友人F女史を誘って、京都国立博物館の特別展「シルクロード 文字を辿って−ロシア探検隊収集の文物−」の見学に行ってきました。館内は空調が効いていて涼しく、汗が一気に冷えてしまいました。人でもほどほどという感じで、ゆっくりと文書を堪能してきました。
さて、今回のメインは、何といっても敦煌文書。19世紀末、西洋諸大国のグレート・ゲームの際、シルクロード方面には諸大国が競って調査隊を派遣したのですが、派遣された隊を率いていた人々はいずれも英雄気質の一流の学者ばかりで、道々貴重な資料を漁り・・・もとい集めまくって、その結果として、旧(あるいは今もそうですが)列強諸国は巨大なコレクションを所有しています。そのうちロシアの派遣した調査隊が残した記録と、そして敦煌を中心に収集した文書コレクションは、現在サンクト・ペテルブルクに収められていますが、この度はそこから「蔵出し」して、京都国立博物館での展示、と相成ったようであります。今回の特別展、ペテルブルクと日本とどちらの側が企画を持ちかけたのか知りませんが、全く玄人好みの企画であります。
展示されていた資料を見ていて思ったのですが、クチャやトルファンから来た文書はサカ語やサンスクリットのモノもかなり見受けられるのに、敦煌出土のモノは圧倒的に漢字ばかりなのです。やはり敦煌が、伝統的な中華世界にとって、西の限界線だった、ということになるのでしょうね。そういえば漢代の万里の長城の西の果ては敦煌でしたっけ。
ちなみに買うか否かで迷った図録は、結局買いませんでした。実のところ、敦煌文書は大学にフォトコピーがあるし、誰か友人が買うだろうからそこから借りれば良いだろう・・・と、予測通りに図録を買っている友人を横目に見ながら思いました。
この後は四条木屋町にあるカフェ「ソワレ」に行って雑談をしばし愉しみました。好天の下、高瀬川のほとりに木立に隠れてひっそりと建つ瀟洒なカフェには陽光が差し込むこともなく、非常に良い雰囲気のところでありました。話の結論としては、
「若者よ、知的領野における飢えを持て」
てなところでしょうか。知的渇望の結果として(なのかどうか)、ギッシリと本と旅写真を詰め込んでしまった(挙げ句に崩落寸前な)本棚を眺めながら、『これは流石に行きすぎだろうが・・・』と、苦笑いを禁じ得ない、私ではあります。