源氏物語千年紀展

午前中バイトの後、友人N女史と、文化博物館の特別展、源氏物語千年紀展を見学してきた。
初日の状況も知っているのだが、あれから一ヶ月以上経ったのに、人の入りは大差ない。しかも平日であることを考えれば、人気の程は空恐ろしいほど。やはり京都で源氏、まして千周年を記念して、と銘打てば客も来るわな。
私より前にこの特別展を見た友人たちの言葉に拠れば
「かなり良い」
とのことだったのだが、一番最初のコーナーに『御堂関白記』の親筆があって愕然とした。つまり、藤原道長の自筆日記。当然ながら国宝。いきなり度肝を抜かれた後、豪華な展示品をじっくり見物。江戸時代の屏風などは視覚的な愉しみを与えるが、それよりも写本の多さには唸った。古くは平安にまでさかのぼり、藤原定家の手校本など、貴重本を此処までよく集めたモノだ、と感心する。配列も、出版時から時系列的に追って、果ては現代の『あさきゆめみし』やペンギンブックスなどの外国語版まで取り上げているあたり、この場所で蓄積された源氏物語研究の時間的・空間的双方の側面における分厚さを存分に示している。この源氏物語研究の大立者のひとり・角田文衛先生を追悼するパネルが、最後に掲載されていた。瀬戸内寂聴・樋口輶康両氏が弔辞を読んだ、角田先生の葬式には不祥、私も参列してきた。その時の事を思い出し、密かに合掌した。
期日は6月8日まで。素人も玄人も圧倒されると思う。