本の整理

10時半頃、下宿から下鴨にある故・T田先生のご自宅へ。先生が所蔵しておられた本の、蔵書整理のためである。何処をどう間違ったのか、私は横文字がある程度読めるので(そのくせ、フランス語が解らないとかいうあたりはとんでもない阿呆なんですが)、西洋古典にも造詣が深かった先生の蔵書整理の人員に駆り出された、というそんな按配。
ただ、困ったことに、ここ数年の怠惰の所為で、ロシア語の読解能力が恐ろしく落ちていた。字面は読めるのだが、ローマン・アルファベットではBにあたる文字が、書けない。というか、どうやって書き取っていたのか忘れてしまっている。ほぼ間違いなく、ギリシア語のデルタと書き方がごっちゃになってしまっているので、非常に困惑した。あまりにも膨大な本の整理に疲れて、ふと眠りの世界に堕ちてしまうこと数度。本の整理に汗をかきかき頭をかきかき、ついでに足りない脳みそをフル回転させつつ、休憩でお茶を飲んでいる時に同じく蔵書整理のために来ておられた先生方が、こんな事を語り合っておられた。
「私が死んだ後、本とかどうするのかと心配になってきました」
・・・5年ほど前、私の前でO戸先生とK村先生が、まったく同じ事を仰っていました(そして、どうしようかと思わずうろたえてしまいました)。でも、これよりはるかに量が落ちるとはいえ、自分の場合も物故しちゃったら本とかどうするんだろ。ふと心配になってしまった。