『グイン・サーガ』、遂に終わらず

「ぼくらの時代」「グイン・サーガ」シリーズなどで知られる作家、評論家の栗本薫(くりもと・かおる、本名・今岡純代=いまおか・すみよ)さんが26日、膵臓(すいぞう)がんのため東京都内の病院で死去した。56歳。葬儀は近親者だけで行う。お別れ会を後日開く予定。(毎日新聞

栗本薫、といったら何と言ってもグイン・サーガでしょう。気が付いたら凄い分量の文庫が本屋さんや図書館(この場合は、名古屋市西図書館)に並んでいる、というのが私の印象で、一時期は全部集めようと思ったのですが、あまりの暴力的分量に、早々に断念せざるを得ませんでした。それでも数年前までは気をつけて新刊をチェックしていたのですが、最近は流石に、別の本ばかり見るようになっていました。一時期に比べれば『アルスラーン戦記』がまともなペースで刊行されるようになったと言うこともあるし、その一方でグインサーガのペースは相変わらず暴力的だし。ただ、
「何時終わるんだろう」
とは、ずっと思っていました。何しろ、私と殆ど同じくらいの年齢を誇る作品です。気にならないはずがありません。数日前も、友人とこの作品について話をしていました。それが、遂に終わらぬままになってしまった、というわけです。終わったら全部、読み返してみるか・・・と密かに画策していたのですが、画策を実行に移すことは、永久に適わなくなってしまいました。残念です。と同時に、物書きにとって一番怖いことのひとつは、仕事に一段落をつける前に、持って生まれた命数を使い果たしてしまうことなのだ、と改めて痛感しました。これは作家であれ詩人であれ、あるいは研究者であっても同じことでしょう。
改めて、凄い人があの世に旅立った、と思います。合掌。