吉田寮を出たのは4時頃、見上げた空は白々としかけていました。さすがは夏だ、と思いながら下宿に帰って寝て、8時半の起床時に頭がハッキリしているわけもありません。宿酔いの痛くて寝惚けている頭を抱えながら、2限の授業に出席。3限の授業がなくて、正直助かりました。そんな私の頭の血液温度が一気に沸点に達したのは、次の記事を読んだためです↓
<イラク>バビロンの遺跡、米軍駐留で損壊 ユネスコ調査
【カイロ和田浩明】イラク中部の古代都市バビロンの遺跡がイラク戦争後の米軍駐留などで大きく損壊していたことが、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の調査で明らかになった。ユネスコが9日に発表した報告書によると、遺跡の敷地内に多数の溝が掘られて未発見の埋蔵物が破壊されたり、重機などの使用で古代の寺院や路面が損害を受けた。報告書は、世界遺産登録を視野に損害の調査と修復を進めるようイラク当局に勧告している。(毎日新聞)
こめかみの血管が切れるのではないだろうか、と思うほどに歯ぎしりしました。こうなることは想像できていたのです。・・・私がイラク戦争開戦直前のデモに参加した時、その理由としていたのが
「俺の飯のタネを壊さないでくれ!」
というものでした(私の専門は中東古代史・西洋古典古代史)。当地の貴重な文化遺産は、日干しレンガか、せいぜいが焼きレンガ製で、恐ろしいほど脆いのです。ましてやよりにもよって、世界遺産バビロンそのものの上に駐屯地を築くとは、歴史と文化に対する、恐ろしいほどの無知と無理解には、正直絶望したくなります。当地の歴史に関心も理解もない連中が駐屯していたら、ましてやそれが敵襲の恐怖に常に恐れおののく兵士たちとあっては、このように跡地が無惨になるのは、火を見るより明らかでしょう。まして、刊行を軸とした戦後復興にも手酷いダメージとなるのに・・・愕然としました。
そんな私の、沸点を突破した頭を冷やしてくれたのは、図書館に取り寄せを依頼していたこちらの本です↓
中国文学のチチェローネ―中国古典歌曲の世界 (汲古選書 49)
- 作者: 大阪大学中国文学研究室
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