気がかりな、毎日新聞の「変調」

イラン:自爆テロ、死者35人に 宗派対立あおる目的か

テヘラン支局】イラン南東部シスタン・バルチスタン州ピシンで18日朝に起きた革命防衛隊を狙った自爆テロの死者数は、同夜までに同隊幹部ら7人を含む35人になった。ロイター通信が国営メディアの報道として伝えた。幹部らは地元のイスラム教スンニ、シーア両派の融和を図る会議に出席するため、同地を訪れていた。同隊は自爆テロが宗派間対立をあおる目的で実行されたとみている。死者には約10人の部族指導者も含まれている。【毎日新聞

「そんな馬鹿な!」
と、思わずうろたえました。いえ、ニュースの内容ではありません。この文章の発信地と術語、具体的に言えば、毎日新聞テヘラン発のニュースで「自爆テロ」という術語が使用されていることに、慌てふためいてしまったのです。
これまでも当ブログでしばしば指摘してきたように、「自爆テロ」という術語は明々白々な「誤訳」で、使用しているのは日本と、イスラエルくらいなものです。そういった事情から、この術語が様々なメディアで平然と使用されている日本の現状に、悪寒すら感じている・・・ということはさておきまして、そういった現状の中、「自爆攻撃」という正確な術語を使用している人は、日本の五大紙ではただひとつ、毎日新聞テヘラン支局長・春日孝之記者のみでした。この理由から、私は同記者の書く記事に全幅の信頼を置いてきました。また、最近になって同紙デリー支局長・栗田慎一記者が「自爆攻撃」という術語を用いていることに安堵を覚えつつ、それでもデリー発の同紙記事のキャプションが「自爆テロ」となっていることに不安を覚えていたのもまた事実です。→こちらこちらを比較してみて下さい。
おそらくは、栗田記者は「自爆攻撃」という術語を使用したがってきたのだが、編集局サイドが「自爆テロ」という誤訳を平然と使用して改めるところがなかったのだろう・・・という裏の事情をうかがって心配していたところで、今回の「失態」です。テヘラン発の記事に、これまで必ずあった春日記者のクレジットがないのもまた、非常に気になります。毎日の外電に信を置いてきた私としては、看過し得ぬ、今回の事態です。