佛教大学歴史学部講演会「『戦利品』の運命」

寝不足飲みすぎでヘロヘロの状態で、佛教大学へ。業務の無い日に自転車を走らせたのは、「『戦利品』の運命」と銘打たれた、歴史学部の講演会を傍聴するためです。
日本のビザンツ史研究を長年リードされている井上浩一先生は、後輩が門下に入ったこともありまして、佛大の派遣事務員として所属する前から、―つまり井上先生が大阪市大におられるころから―面識を得ていました。事務員時代に挨拶したとき、顔を覚えていただいていたのは、とてもとても光栄なことでありました。その井上先生の、事実上、佛教大学での最終講義、という位置づけになりましょうか。それを、日本近代史の原田先生との組み合わせで、最後に対談を設ける形でやるというのが、面白い試みです。
派遣職員を辞するのを機に、井上先生にお願いして、ギリシア語講読の勉強会をすることになりました。他のテキストを読むことを想定していたのですが、井上先生が真っ先に挙げたのは、ポリュビオス『歴史』でした。
「未だ(井上先生は)読む機会がなく、しかし重要性は疑いない」
というのがその理由で、しかし私が一番避けたいと思っていたテキストであります。それは、極めつけに読みにくいテキストである、という理由によります。しかし他に候補もなし、それに私の研究テーマでもあるし、・・・というわけで、この難解さで(悪)名高いテキストの第12巻、「ティマイオス批判」の巻を、2年間にわたり読むことになりました。井上先生が学生時代、このテキストは講読の教材として読んだことがない、と折に触れておっしゃたのは印象的です。そして、ほぼ毎回、
「難しい、・・・しかし、面白い」
と繰り返しながら、鍛えていただきました。この2年間で、私が少しは成長できたとするならば、それは井上先生のおかげであります。ご指導、厚く御礼申し上げます。