西洋史読書会例会

歴史と事実―ポストモダンの歴史学批判をこえて (学術選書)

歴史と事実―ポストモダンの歴史学批判をこえて (学術選書)

本年度の西洋史読書会・例会は、大戸千之先生の近刊『歴史と事実――ポストモダン歴史学批判をこえて』の書評会でした。評者以下は以下の通り−

本書を手にして以来、ずっと考えていたのは
「この本、いったい誰が書評するんだろ・・・?」
ということ。ヘロドトスからポストモダニズムまでを見通す一冊ですので、純粋な西洋古代史研究者には難しすぎるし、かといって純然たる近代史家では歯が立たない。ですので、お引き受けになった阿部さんは、苦労されたことと愚考します。
書評やコメント、そして著者ご自身からのご発言を聞いて、改めて思ったのは
「平易な語り口で、重い課題をさばく」
ということの難しさでしょうか。大戸先生の研究は、本書にせよ、『ヘレニズムとオリエント』に代表される諸論攷にせよ、いつも「こりゃかなわん」と、日暮れて道遠しという感想を抱かされるのですが、今日もそのことを痛感する一日でした。