「村屋企画」と吉田寮見学

10月4日更新

旅仲間のおねぎさんに誘われ、吉田寮・旧食堂で開催中の「村おこし(村屋企画)」に行ってきました。
村屋というのは、京大西部講堂の裏手にあたる、鞠小路東一条を上がったところにあった、知る人ぞ知る変な居酒屋です。いつの間にやら店が無くなっていたのですが、この村屋を中心に、物好きな居酒屋さんが日本中から集まりまして、京大の吉田寮旧食堂を借り切って、3日間、居酒屋祭りをするという催しです。吉田寮の旧食堂は芝居を含めたイベント空間で、芝居の手伝いで学生時代にはよく出入りしていました。
並行して、吉田寮の見学ツアーが開催されまして、おねぎさんの関心は、こちらにありました。私は2001年1月に、この吉田寮に一週間ほど泊まったことがあります。入り口近くに雑居房というか雑魚寝部屋がありまして、ここでは一日200円で誰でも泊ることができたため(今でも可能かも)、下宿探しのために泊まったのです。ただ、何しろ居住スペースですから奥に進入することは控えておりました。しかし今回、寮をひととおり見て回る機会を得た次第です。
床がギシギシ音を立てること、そしてさすがに生活空間であるために汚れは目立ちますが、作りはしっかりしているというのが、素直な感慨です。大正時代の建築ということもあってか、かつての第3高等学校の建材を一部流用しており、建築史・教育史の観点からも、重要な文化財であると感じました。したがって、吉田寮の取り壊しに向かってひた走る現在の京大の施策は、首肯しかねるというのが率直なところです。
ただ、居住空間としての現状の維持には、これも賛同しかねるところです。住処としての耐用年数は過ぎている、けれども建物は維持してほしい、となると、落としどころは総合博物館の別館ということになろうかと思います。
つまるところ、私は吉田寮が好きなのです。あそこを壊して綺麗にしてしまったら、東大と差別化ができないではないか、と偏見丸出しにして思ってしまうわけです。
そんなことを考えながら外に出て、おねぎさんと拙亭でお茶を飲んで、本日はお開きとなりました。