フェニキア・カルタゴ研究会というのは、古代地中海でギリシア人と並び、海洋の民として有名なフェニキアおよびカルタゴを研究する研究者の集いです。日本でこの分野の研究者はきわめて少なく、おそらくは片手で数えられる程度ではないでしょうか。この分野を研究する人たちが研究会を結成し、研究報告の集いである公開報告会は今回が5回目ということです。
たまたま、ヨーロッパから戻ってくるのがこの前日ということで、
「あ、行けるな」
と思ってしまったのが、運の尽きと申しましょうか。関空発東京行きの朝一番、6時半の飛行機で東京へ行くことになりました。前日の中国東方航空でのKIX着が夜9時半ですから、つまり、関空から一歩も出ないまま(ほとんど睡眠も取れないまま)、東京へと飛んだわけです。
で。
今回は初めて羽田に到着しました。都心から近くて、やはり便が良いというのが率直な感想です。途中で銭湯に入って旅の埃を洗い流し、土産でふくれあがった鞄を宿に預けて、会場である放送大学東京文京学習センター(筑波大学の校舎でもあります)に到着して、目の前を東京大学名誉教授のM村先生が歩いているのに気がついて、思わずひっくり返りそうになりました。会場も一杯の人出で、びっくり。事前に聞いていたのが、あまり人が来ない会である、ということ。どうやらこれは私の聞き間違いであったに違いありません。一般の聴講者が大勢であるのに加え、研究者が東京・名古屋・関西から群れ集っていて、大盛況でした。
発表者および内容は、下記の通り。
- 長谷川岳男「古代地中海世界における人々の移動を考える」
- 佐藤 育子「フェニキアの海外発展 -アイデンティティとネットワークの変容」
- 宮嵜 麻子「古代イベリア人とフェニキア、カルタゴ文化」
- 青木 真兵「古代ローマ帝国属州アフリカにおけるローマ人、ポエニ人、リビア人の関係について」
- 師尾 晶子「ギリシアにおけるフェニキア人についての叙述」
充実の内容で、しっかり勉強した後、馬喰町に取った宿、トレインホステル北斗星へ。寝台列車の寝台部分を、ホステルのベッドに転用したという宿で、いっぺんに気に入ってしまいました。また此処に泊まりたい!と思うところであります。