第22回ヘレニズム〜イスラーム考古学研究会参加記

※10月9日アップロード

昨年に引き続き出席してきた、ヘレニズム〜イスラーム考古学研究会から帰ってきました。
今回の研究会は発表者の数が恐ろしく多く、一昨日・昨日の二日間、ぎっしりの日程でありましたが、初日の4日は午後からということで、午前中は金沢城兼六園を見学してきました。今でこそ史跡公園として整備が進んでいますが、かつては陸軍の駐屯地、そして戦後はなんと金沢大学が置かれていたところ。お城の中に大学、ってどんな気分なんでしょうか。私は金沢大学でかつて教鞭を執っておられた、アレクサンドロス大王研究の大牟田章先生のことを思い浮かべて、もの思いに耽ってしまいました。
さて、この研究会で、昨年は報告者としての参加でしたが、今年はただの傍聴・・・ではなくて、実は主催者にお詫びを言うのが主たる目的でした。というのは、この研究会、発表者はその内容を活字にして、毎年出される報告書
『ヘレニズム〜イスラーム考古学研究』
に掲載することが原則となっていますが、昨年はその原稿締め切りと身辺雑事が重なってしまい、とても提出できる状況になく、ペーパー提出を見送らざるを得ませんでした。そのお詫びを申し上げに行ったのですが、
「じゃあ原稿締め切りは今月末で良いですね」
おおう・・・なんとご無体な、いえいえ原稿を出さなかった私が悪いのですから、と善処を誓った次第です。
そんなわけで、
「熊が出る」
と噂のキャンパス内で懇親会&宿泊。夜行バスで乗り込んだことから、思わずうつらうつらしながらの参加でしたが、そんな私の眠気が一瞬にして吹っ飛び、全員が一斉に蒼ざめたのは、研究会の最終報告、国士舘大学・岡田保良先生の緊急声明でした。おりしもイラクの貴重な遺跡のいくつかが破壊された後ということもあっての、この提言となった次第です。
かつてイラクやシリア、アフガニスタンで日本からの調査隊も活動していた時代には前線で活躍された先生方がズラリと顔を並べた場、
「ここは、日本隊が調査したところだねぇ」
ある先生がふと漏らされた、そんな言葉に息を呑みつつ、彼の地の平和が一刻も早く回復することを、改めて願わずにはいられませんでした。