新エディンバラ・レポート42:地震の衝撃に揺れる日本人たち

11〜12月の大雪のとき、私がさんざん訊かれた質問の中に、こういうのがありました。

「日本では雪が降ったらどうなるの?」
「まあ遅れは出るけど、UKみたいに交通の全面停止はしないよ。そんな事態が起きるのは地震と台風の時くらいだね」
「・・・それはつまり、よほどの想定外の事態の時だけ、と言うことだね」

欧米の人たちは、この二つの災害を殆ど経験したことがありません。エディンバラ大学は地理学でも相当に有力な大学だそうですが、それにしても地震の経験者は、殆ど存在しないはずです。従って彼らにとってこの二つの災害は、想像がまったく出来ない代物である、ハズです。津波も然りですね。
そんな地震と無縁なエディンバラ大学に留学中の日本人留学生たちの心を、超弩級の激震が直撃しました。言うまでもないと思います。3月11日、日本は三陸沖で起きた、大震災です。
この日、私はいつもと同じ時刻に目を覚まし、朝食を済ませ、PCを開いてBBCに繋いで、・・・そこから40分間、モニターを見る以外の行動をとることが出来なくなりました。
知識としてしか知らないことですが、三陸沖は地震というよりはむしろ、そのあとに起きる津波の方で有名なところかと思います。そのため、津波への対策は、おそらく世界最高の水準にあるのは間違いないでしょう。この点に関して疑いを持つ人間は、おそらくいないと思います。それだけに、今回の地震の衝撃は、計り知れないものとなっています。例えばUKの話になるわけですが、BBCホット・スポットの中東情勢をほとんど報道せずに、ひたすら1時間も日本の地震を報道しているというのは、衝撃が日本人のみにとどまるものではないということを雄弁に語っています。
この日の朝からずっと、日本人に対する挨拶は開口一番、
「君の家族とご友人は息災か?」
というものに統一されました。直接、面と向かってだけではなく、安否問い合わせがオンラインでもどっと押し寄せてきました。特に、2009年の留学時の友人たちを中心として多く問い合わせが来まして、また多くいただいた励ましのメッセージを受けるたび、感涙を禁じ得ません。
そんな中、私が心底安堵したのは、2009年留学時の学友の一人である、コージさんの無事の報でした。彼が帰国後、仙台に済んでいることは承知していましたし、今回の留学時もいろいろと助言をしてくれて、私の留学生活がスムーズに再スタートを切れるように手配してくれた人でしたので、彼から携帯メールで無事を伝えられた時には、安心で気が抜けてしまい、立っていられないほどでした。セメスター2も終盤、レポートラッシュのところで突然襲った衝撃ですが、自分の出来ることに専念していきたいと思います。
今週末は、私の関係者が設けるパーティーが相次いでおりますが、敢えて中止を提案するよりも、こういう場で情報交換を密に行っていった方がよいかな、と思って顔を出し続けております。日本では、私の旧友が華燭の典を挙げたはずです。『洛北史学』創刊の時の井口和起先生・・・か河村貞枝先生の、どちらのお言葉か忘れてしまいましたが、こういった逆風の中だからこそ、今できることをやって、その中で次の方向を見定める、という努力をしていきたいものです。