イラン・ケルマーン州で邦人拘束

イラン:日本人拘束 「陸路の国境越え危険」心配する関係者ら
イランへ渡航中の日本人男子大学生(23)が武装グループに拘束されたとされるイラン南東部のケルマン州は、治安の悪さが指摘されており、安否を心配する声が上がっている。(中略)。「日本国際民間協力会」(京都市)の折居徳正事務局長は「国境に近づかない限り危険なことはないと思うが、旅行中の日本人の若者の中には、陸路で国境を越える人もいて、危ないことをするなあと思っていた」と話している。(毎日新聞


イランは一応私のテリトリーだが、何故このニュースを取り上げたのかというと、
「またかよ」
と、呆れたからである。いや、拘束された方の事ではない(だいいち、私の同類である可能性が高い)。報道の仕方の問題である。


まず一点目。最後の「日本国際民間協力会」という組織の代表の発言である。おそらくは「識者」の発言として取り上げたつもりだろうが、私に言わせれば参考にもならない駄文である。本当に識者の発言を取り上げたいならば、(これは3年近く前、香田証生さんの事件の時にも主張した事だが)『旅行人』の関係者を呼んで来い。そもそも、上で述べられているところの「危ない事をする」人ならば、此処にいる。私である。危険度も、私が当該地域を通過した頃と比べてそう大して変わっていないようだが、何処がどう危ないと感じたのか、是非ともお聞かせ願いたいところである。無論の事、私がこの国境地帯を総陸路で通過したのは7年前だから状況に違いがあるのは承知しているが、上の記事はそのタイムラグすら無視して、
「中東での陸路での国境通過はすべからく危ない蛮行である」
と主張しているような気がして、腹が立っている。


二点目。このトピックではないが、この事件に関する第一報で、毎日新聞
「海外で日本人が襲撃・拘束されたケース」
なるものを列挙しているが、何か意味があるのだろうか。パラグアイイラクの例が挙げられているが、いずれもイラン・パキスタン国境地帯とは遠く離れており、全く参考にならない。せいぜいが、
「ヨーロッパ以外のところは危ないんだな」
というイメージを抱かせる以上の効果はない。これもまた、全く意味のない駄文である。そもそも、日本人の拘束ならば日本でだって起こっている。
実のところ、国境を自分の足で越えるのは、たまらなく愉しい行為なのである。その快感を知っている人間が書いているとは思えない・・・と思っていたら、どうもこの文章を書いているのは、同地域のエキスパート・春日孝之氏ではなく、東京の本社らしい。納得。同氏の記事は相当に高い信頼を置いている私としては、思わず目を疑ってしまったものである。


それにしても、事件が起こったのはバムという事だが・・・今のあすこは、観光に堪える所ではないはず。そこもまた7年前と圧倒的に違うところなのだが、実際何をしに行ったのだろう?


最後に。拘束された方の無事の帰還を心より願っている。