2024春旅の記録①日本~パリ

(3月18日更新)

5年ぶりのヨーロッパ行、今回はベトナム航空で関空を出発し、ハノイを経由してフランスのパリに達する(戻りはサイゴン経由)経路を選びました。KIX–パリ便の最安値は中国系の航空会社だったのですが、北京での乗り継ぎ時間が2時間を切る設定になっていて、二番目に安かったベトナム航空を選んだ次第です。で、なんとこれが、初めてのパリです。厳密には2000年にフランスを通過した際に朝のセーヌ河を見ているのですが、下車して観光などはしていないので、やはり今回が初のフランスです。

ハノイの乗り継ぎの時間を利用して旧市街を少し観光した後、パリまでの便に乗り継ぎました。フライト時間は14時間弱というところ。空港での入国手続きに続いて空港でSIMカードタブレットに入れ、市内に出ます。朝9時半からヴェルサイユ宮殿の見学を予約していたので、荷物は担いだままでヴェルサイユ直行を選びました。

しかし、これが後で響きました。まず、ヴェルサイユ行きの近郊列車を乗り間違えて、ヴェルサイユ到着は当初予定から遅れて10時半頃でした。見学時間は予約の取り直しでどうにかなりましたが、ここには荷物預け所がないのです。結果、重い荷物を一日中担いで宮殿見学という羽目になりました。

ヴェルサイユ宮殿正面と庭園

さて、重い荷物を担いでのヴェルサイユ宮殿、まず驚いたのは、正面から見たときの大きさと派手さです。キンキラキンですね。次に敷地に入って中庭から正面、つまり建物の外壁を見てみると、凹みという凹みにローマ皇帝の胸像が鎮座していて、「皇帝」を称する資格のないフランス王の、「皇帝」の称号を持つハプスブルク家への対抗意識が一目でわかる構図になっています。この外壁の飾りが、宮殿の性格全体を象徴していると云って良いでしょう。とことん、フランス王室という宮廷芝居の舞台として設計されているのです。つまり、冬は寒そうで暮らすには不向きだなぁ、というのが派手な宮殿を見て回りながら思ったことです。ここに比べれば、広大な庭園の中にある小トリアノン・大トリアノンの2離宮は、作りもややこぢんまりとして、取り回しが楽であろうという印象を受けました。ヴェルサイユからトリアノンへ向かおうと外に出たところで雨が降り出したのには憮然としましたが。

(左)ヴェルサイユ宮・鏡の回廊(右)大トリアノン宮室

フランス初日はヴェルサイユ見学で一日を費やしてしまいましたが、入場に際してパリのミュージアム・パスの二日券(€49.50)を購入していました。二日目は、これを朝からフル活用して、サント・シャペル→アンヴァリッドルーブル美術館と駆け足で見て回りました。

まずはシテ島の中にあるサント・シャペルです。前日来の雨に悩まされつつ入った礼拝堂は、2階に上がると全方位からのステンドグラスが実に鮮やかです。晴れていたら、もっと荘厳な雰囲気だったと思いますが、外が雨でも充分に堪能しました。

シテ島からは徒歩でアンヴァリッドに向かいました。距離はなかなかありましたが、サン・ジェルマン通りを通りながらの街歩きは、なかなかのモノでした。アンヴァリッドは入り口を間違えて、外周をぐるりと一周することになってしまいました。この建物、日本語に訳せば「廃兵院」すなわち軍病院だったところですが、現在は軍事博物館です。もっとも、博物館の展示物は、見ませんでした。用があったのは、アンヴァリッドの中央に鎮座する教会の天蓋の下に君臨する、ナポレオンの石棺です。赤茶けた大理石作りの巨大な石棺の存在感は、圧巻でした。

(左)サント・シャペル(右)ナポレオンの棺

この後は、しとしと雨の中を歩いてルーブル美術館に向かいました。後で思えば、これはメトロを使えば良かった・・・後で地図を見たら、アンヴァリッドからルーブルまでは、メトロで4駅分の距離があるのです。間にグラン・パレ、コンコルド広場にチュイルリー公園が横たわっているわけで、いくら歩いても着く気がしないのは、当たり前です。やっとの思いで、ルーブル美術館に駆け込みました。12時45分でした。

さて、もとはこの美術館は宮殿で、すぐ隣には第三帝政の崩壊時に消失したチュイルリー宮殿がありました。ということは、ルーブル宮はパリの主宮殿の一角を占めていたということで、なるほどデカいわけです。その器が一杯になるくらいのお宝を詰め込んで展示しているわけですから、

「1日で終わるはずがない」

と、最初から腹をくくっていました。ただ、1階だけで2時間以上を軽く費やすとは・・・かのハンムラビ法典の本物を見ているときに、見知らぬ白人カップルと

「エジプトコレクション、何処にあるか解る?」「いや、私も探しているところなんだけど、何処かなぁ?」

というやり取りをしたのは他愛もない笑い話でしょうか。結果、ダヴィッドの「ナポレオンの戴冠」は見ることができましたが、ドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」は見学できず。ミロのヴィーナスとサモトラケのニケで時間を費やしすぎたかなぁ・・・有り難かったのは、写真撮影がだいたいOKであったことでしょう。もっとも、特別室に隔離されている「モナ・リザ」については、人だかりの方が目立ってしまっていますが。

説明不要の2点

朝からパリの観光名所を駆け足で回ったところで、ゆっくりすることもなくシャルル・ド・ゴール空港に向かいました。22時発のEasyJetで、エディンバラに飛んだのです。