映画鑑賞記:『荒野に希望の灯をともす』

10月13日更新

東寺のすぐ近くに、京都みなみ会館という小さな映画館があります。小さな箱ですが、大映画館ではあまり上映しないような映画を多く上映するところです。普段であれば東寺に行くのですが、今日はその東寺を無視して、この映画館に行きました。受付のスタッフも、案内係さんも私服という、いつも映画を観るシネコンとはずいぶん違う、手作り感満載のところでした。

観たのは、こちらの映画です。

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ペシャワール会中村哲医師の足跡を記録した映画です。ドキュメンタリー映画というのは、ややもすると淡々とした構成になります。この映画も、そうでした。ですが、最初から貴重な映像がてんこ盛りで、史料としての価値も極めて高い、圧巻の迫力を持つ構成ですので、気合いを入れて観ました。

改めて、中村医師は陽の当たらないところに灯火を掲げ続けた人だったのだと思います。記憶の限りでは2回、講演会に参加しました。その小柄な身体に、ビックリ仰天したのを覚えています。飄々とした語り口調には、しかし時折、会場を圧する気迫が満ちるときがありました。

「金太郎飴のように同じことを繰り返し云っているだけ」

と必ず仰っていましたが、その活動に裏打ちされた中村医師の発言には、常に万鈞の重さがありました。

医師の活動母体であるペシャワール会は、現在もアフガニスタン支援活動を続けています。映画の最後で、現在の事務局の皆さんが、訴えていました。タリバンに対する制裁によって苦しんでいるのは、アフガンの一般の人たちである、と。経済制裁のため、アフガンでは送金されたお金を引き出すこともできない、弱者を痛めつける国際社会とは一体何なのか、と。私にできるささやかなことは、医師とそれを支える人たちの言葉を、少しでも多くの人に伝えていくことであろう、それができれば、いや、それをしていかなければなるまい、と改めて思いました。